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2011.02.01

vol.16 Hand bath,Foot bath 手浴、足浴

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もうすぐ暦の上では立春と言えども、
日本はまだまだ寒い日が続いていることと思います。


今回は、全身浴をしなくとも
心身共にほっこりと温まる、
ハンドバスとフットバスの部分浴法をご紹介しましょう。

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ハンドバス、フットバス共、
手足の先の血流が良くなり、体全体も温まる上、
そこに加えたハーブ(や精油)の効果も期待できます。

また、身体のみならず、
気持ちに働きかける力も忘れてはなりません。

ハーブの効能によって、
スッキリしたり、リラックスしたりーーー。
ちょっとした気分転換のきっかけにもなり得ます。


娘が幼稚園に通っていた頃、
ある寒い朝、学校に着いてクラスルームに入っていくと、
子供たちが静かに 自分の順番を待ちながら並んでいました。

ラベンダーの精油を垂らした温かいお湯のボウルに
ハンドタオルを浸して絞ったもので、
先生がひとりずつ、子供の手を温めて下さっていたのです。

自分の順番が来ると、
こどもは先生に
良い香りの温かいタオルで手を温めてもらいます。
きっと、先生と子供の、心を通い合わせる時間にもなっていたのではないでしょうか。

息をはずませて幼稚園に来た子供も、
手を温めてもらうことで自然に心も体もゆったりと鎮まり、

「学校」という場で新しい一日を始める
心の切り替えができるようでした。


このように、ハンドバスやフットバスを準備できない時でも、
ハーブを浸したタオルで手や足(もしくは肩)を蒸し温めるだけでも、
十分にリラックスしたり気分が変わったりといった効果が期待できます。

               ..。..


寒い冬の日に温まりたい時、
心身共に疲れている時や眠れない時など、
私も気軽にハンドバス、フットバスを行います。

特に足浴で体を温めてあげると、
血の巡りも、気力も静かに動き出すような感じがあって
自分自身の心身の調整のために行うこともあります。


足浴をして温まったら、
頭も体も一旦リリースして真っさらになって
そのままおふとんに入って快眠。

一番のしあわせで、贅沢なことかもしれませんね!

皆さんも、ぜひお試し下さい。


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精油のみのハンドバスをする際には、ほんもののハーブやお花を水面に浮かせると綺麗で楽しいものです。
冬の間も茂っているローズマリー、マートルなどをフレッシュのまま入れたり、夏の間に収穫、ドライして保管しておいたハーブを使うことも。
写真のピンクのお花は、センテッド・ゼラニウムのお花。お湯の中で変色もせず、目を楽しませてくれます。

子供がシャワーやお風呂を面倒くさがる時でも、この方法は楽しく感じるようですね。

            
<ハンドバス>

1)なるべくプラスティックや金気のある素材以外の洗面器やボールに ドライかフレッシュのハーブを入れ、熱湯を注ぎ5分以上抽出します。
ハーブが手元にない時は、精油を使用します。(精油は1〜3滴入れ、抽出する時間は必要ありません)

2)やや熱めの肌に心地いい温度になったら両手首をお湯の中に浸し、5〜10分ほど手浴を行います。お湯がぬるくなったら、熱いお湯を足していきます。この時、火傷しないよう、ご注意下さい。

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手や腕を酷使した日のケア、肩こり、首に痛みがある時、
全身浴ができない時や、気分転換にもいいでしょう。

                 

<フットバス>

1)ハンドバスと同様の、両足首の上までつかる洗面器やバケツを用意します。

2)ハンドバスと同様の手順で用意をし、いすにすわって10〜15分ほど足浴をし、その後タオルで足を包み、さらに少しの間、リラックスして足を休めます。

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立ち仕事、足のむくみ、筋肉疲労、冷え、風邪の時、
また入浴できない人、高齢者にも楽しめる方法です。

天然塩を加えるとミネラル分が作用し、発汗作用で新陳代謝を高めたり、体内の毒素排出の効果も期待できます。
その他、はちみつは肌をしっとりさせる効果が、アップルビネガーは、皮膚の炎症や湿疹、水虫にも。

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<症状別のハーブ・レシピ>

○肩こり、首すじのはり、筋肉痛...ラヴェンダー、マジョラム、ユーカリー、ローズマリー、
                ジュニパー、クラリセージ、ペパーミント

○足のむくみ、だるさ...ジュニパー、ゼラニウム、マジョラム

○冷え...ローズマリー、ジュニパー、ラベンダー、ゼラニウム

○関節炎...サイプレス、ペパーミント、マジョラム、ジュニパー

○腰痛...マジョラム、ローズマリー、レモングラス

○不眠...ラヴェンダー、マジョラム

○水虫...ティーツリー、マジョラム、レモングラス

○硬くなった皮膚...サンダルウッド、カモミールジャーマン


DSC_0002-13111.jpg私が個人的に好きなフットバスのレシピは、ジュニパーベリーとローズマリー、天然塩の組み合わせ。
染み通るような森の香りに癒されます。

ジュニパーベリー、ローズマリー、天然塩とも、新陳代謝と体内毒素の排出を促す作用もあるので、疲れがたまったと感じた時や、体内や思考が淀んでいると感じた時によくこのレシピでフットバスをします。


ただ、効能の中に通経作用もあるので、連続使用、使用過多、妊婦の方のご使用は避けた方がいいでしょう。
また、ハーブ類は何週間も使用し続けると体がそれに慣れて、効能が体に作用しなくなることがあるので、休み期間を入れながら使用していくことをお勧めします。

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。