画執の人 - 山下りん・木村武山と海老沢東丘
◆内容紹介
画執(がしゅう)の人 - 山下りん・木村武山と海老沢東丘
託された絵に導かれて
日本人最初のイコン画家として知られる山下りん(1857-1939)。
その一方で、臨画や銅版画にも秀逸な作品を残していた……。
りんの弟子だった日本画家海老沢東丘(えびさわ とうきゅう 1905-95)が
大切にもっていた27枚のスケッチや油彩画、
水彩画をもとに、著者自らの体験も絡めながら、
幕末から昭和にかけて芸術表現に真摯な思いを貫き通したりんと、
その周囲の画家たちの像を紐解いていくエッセイです。
著者は、東丘を義父にもつイラストレーターでありエッセイスト。
一時期は画家を目指した時期もあり、彼らと同じ創造者の立場で、
「りんの生涯」と「幕末から昭和の時代の美術界」を逐次調査して検証していきます。
その検証の「旅」から得たものは、時代に翻弄されながら
創作に全人生を捧げた芸術家たちの知られざる姿でした。
目次
はじめに
第一章 りん、師への希求
石膏デッサン
りんの生い立ち・その背景
師を求めて
油彩画
第二章 絵の道を歩む、りん
工部美術学校
カリキュラム
異国へ
帰国
第三章 りんと武山、東丘の絆
りん、故郷・笠間へ
りんの導き
良き師への橋渡し
りん永久の旅へ。そして武山と東丘
新たな道
あとがき りん像を彫る使命を負って 星永文夫(俳誌『霏霏』主宰)
山下りん、木村武山、海老沢東丘の略年譜
参考文献
◆著者プロフィール◆
海老沢小百合(えびさわ・さゆり)
1947年熊本生まれ。イラストレーター・エッセイスト。
武蔵野美術大学卒業後、テキスタイルデザイン研究所勤務。
その後、イラストレーターとして独立。
さまざまな企業や出版社のイラストを手がける。
全国各地で原画展開催。
月刊誌『ふれあいねっと』表紙絵・特集企画編集等を16年間担当。
主な著書に、絵とエッセイ集『記憶のパレット』(2004年、星雲社)、
宮澤賢治研究者の間で〈ナゾの人物〉と言われる祖父を書いた
『琥珀色の肖像』(2010年、時事通信社)がある。