2013.05.13
まもなく発売『中原淳一の花のある美しい暮らし』
「それいゆ」「ひまわり」「ジュニアそれいゆ」「女の部屋」
という雑誌をご存知でしょうか。
昭和20年代から40年代にかけて、
若い女性に絶大な人気を博したこれらは、
中原淳一が、戦後焼け野原となった日本で、
夢をまったく忘れた女性たちに美しい暮らしを取り戻し、
優しく美しく、賢い女性になってほしいという願いから、
つくった雑誌です。
驚くべきことは、これらの雑誌で淳一は、
原稿依頼や取材などの編集作業ばかりでなく、
イラストレーションをはじめ、
誌面のレイアウト、文字校正、
掲載する洋服のデザイン、撮影のモデル選び、
撮影場所のセレクト、ヘアメイク、
着付け、撮影のディレクションまで、
すべてを自ら行ったということです。
今回発刊する書籍のテーマとしてまとめたフラワーアレンジも
もちろん淳一自身が行っています。
まさに全身全霊を傾けてつくったこれらの雑誌には、
淳一の想いが込められ、モノクロの写真と文章が、
誌面にびっしりと掲載されていました。
フラワーデザイナーとして活躍するなかやまれいこさんが、
淳一のこれらの記事を目にして、
その先見性とオリジナリティに感動し、
仕事として花に関わっている人だけでなく、
すべての現代人に向けて、
淳一の言葉を伝えたいという
想いを持たれたことがきっかけとなり、
生誕100年の今年、
ついに一冊の本としてまとまることになりました。
当時のモノクロ写真を掲載するとともに、
当時掲載の誌面にできるだけ忠実に、
そして、現代の生活にも合うように工夫を加えながら、
なかやまさんにフラワーアレンジメントをお願いしました。
また、写真のモデルとしてもよく誌面に登場し、
淳一の撮影に立ち会うことも多かった
長女の中原芙蓉さんに貴重なアドバイスをいただきながら、
一部に当時撮影に使った器を使用して、
よりいっそう淳一のこだわりを現代に蘇らせ、
淳一が伝えたかった花のある暮らしの魅力を再現しました。
モノクロ写真でしか見たことがなかった淳一の世界が
カラー写真となって、現代に蘇ったかのようです。
また、当時小さな文字でびっしりと書かれていた文章も、
ゆったりレイアウトすることで、文字も大きくして、
読みやすくしています。
6月1日からは、そごう美術館で
「生誕100周年記念 中原淳一展」も催されます。
この展示の中で「花々と暮らす」というブースが
新しく展示されます。
また、本書でフラワーアレンジメントをつくってくださった
なかやまさんによる花束のワークショップもあります。
この会場でも書籍を販売します。
ぜひご覧下さい。
編集部M.M.