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2011.01.07

vol.15 冬に楽しむ Sprouting。

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皆様、新年明けましておめでとうございます。
今年も、自然と寄り添った暮しの楽しみを提案させていただきたいと思っております。
どうぞ宜しくお願いいたします!

                  ***

南仏では、12月4日の聖バルバラの日になると、
新年に向けて豊作と幸運の象徴である小麦とレンズ豆をお皿に蒔き、
クリスマスの食卓を飾る習慣があるのだそうです。

今回は、そんな習慣をちょっぴり味わいながら、
新年のまっさらな雰囲気にぴったりな
冬でもできる(冬だからこそできる)sprouting (もやし作り)をご紹介いたします。


春先や秋の、土に撒く種まきも楽しいものですが、
キッチンで行なう種まきーーーsprouting も、実に楽しいもの。

雪にとざされた地域に住んいでる方、またお庭がない方でも
真冬に、キッチンでグリーンを育てることができるのですから
こんな魅力的なことはありません!

日本では、蒸し暑い夏より、
むしろ冬にスプラウト作りをした方が
適しているかもしれないですね。

できあがったスプラウトは、
好きな時に好きなだけ新鮮な状態で食べられます。

また、発芽のプロセスによって天然の酵素、ビタミン、ミネラルが大幅に増加し、
そのままの状態では酸性の種子がアルカリ性に変化するという利点も。
「ただの種子」も、「生きたスーパーフード」になるのです!

できあがったスプラウトは、サラダやスープにトッピングしたり、
サンドウィッチに入れたり、メインディッシュのつけあわせに散らしたり。


植物が芽や根を吹き出すという、
若々しくも力強いいのちのエネルギーをわたしたちも分けてもらい、
冬の間も元気をもらいたいと思います。

***

<必要な道具>

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左上から、Brown Mustard、fenugreek、Alfalfa、Red Clover、Broccoli の種子。
個人的には、種子も大きめで育てやすいFenugreekがお勧め。

○種子...できるだけsprouting seedとして売られている、オーガニックのもの。

○水...種がダイレクトに吸うので、ミネラル水、フィルター水などなるべくきれいで良質なもの。

○ガラスのメゾン・ジャー(蓋の真ん中が開くタイプの保存食用のジャーを使用する場合は、市販されているメッシュのスクリーンを使用。下の写真参照。スクリーンがなくても、ガーゼなどの布で代用できます。)

○もしくは空き瓶(蓋をとって、ガーゼやメッシュ状の布をかぶせ、輪ゴムで留める。)>

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左:金属製のメッシュのスクリーン。右:蓋部分にメッシュを設置して、フチの蓋をしめると、Sproutingメーカーに早変わり!ガーゼなどでも代用できます。


<sproutingの方法>
1)約大さじ1~2の種子を1000mlのジャーに入れて水を注ぎ、
  スクリーンを通して水を捨てて、これを2、3回繰り返して種子を洗う。
  その後、ジャーの中の種子の2倍ほどの高さに水を入れ、ひと晩そのまま置く。

2)翌朝また水を捨て、新しい水で2、3回種をすすぎ洗う。その後水を切り、45度の角度でジャーを
  寝かせ、種が一カ所に集まりすぎないように置いておく。

3)朝、晩(暑い時期には昼も)2)を繰り返し、スプラウトが好みの状態になるまで育てる。
  種子の種類、季節、場所にもよるが、大体3、4~7日くらいで食べられるように
  なる。(寒い環境ではもう少し時間がかかる可能性があります。)
  好みの状態になったら、後はタッパーなどに入れて冷蔵庫で保管も可能。

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左:種子と2倍の高さの水を入れた状態。右:少しの種でも、育つとビンいっぱいに。

***

15-7.jpgまた、種子だけでなく、豆も発芽させることができます。

お皿や平たいタッパーに、ひたひたの水をはるか、水に湿らせたコットンをひき、あまり重ならないように豆を寝かせ、毎日1、2回水をかえてあげるだけ。
お豆のスプラウトは、少しでも火を通して食べた方がいいそうです。
私はサラダ感覚で、野菜や海藻と混ぜてヴィネグレット(ワインヴィネガーにオイルを加えたソース)をかけたり、ナムルのようにしていただくことが多いです。ぜひお試しくださいね。

左写真は、水に浸して2日目のMung Beans(緑豆)。
Mung Beansは暗い場所で発芽しやすいので、ナフキンやお皿など上にかぶせます。
あずき、ひよこ豆、レンズ豆、大豆などでもスプラウトを作ることができます。


Enjoy Sprouting!

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プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。