ページトップ

目次

2010.11.23

Vol.13 秋と、ほのかな灯りと。


DSC_0002-112210.jpg


秋も深まると、我が家では次第にキャンドルの出番が多くなっていきます。

朝 目覚めた時に、外がどんよりした雲に覆われていたら、
私は電気のあかりをつける前に、キャンドルに火を灯します。
柔らかい灯りは、眠りから覚めたばかりのぼんやりとした体と心に朝を告げ、
新しい一日に向かう心身にそっと寄り添って、
完全なる目覚めまで、静かに手助けをしてくれます。


また、日が短くなっていく寂しい秋の夕暮れにも、
キャンドルはかかせません。

もう10年以上も前、
真っ暗になるまで電気のランプをつけずに、キャンドルの灯りだけで会話を楽しんだ、
ドイツの知人宅での情景が忘れられず、
私も外の明るさが少しずつ落ちて行くに合わせ、
自宅で夕暮れにキャンドルを灯すようになりました。

キャンドルの元では、
自分自身に対しても、そしてそこに居合わせた人々とも、
どんな時よりも、心と心を向き合わせることができるように感じるのです。

そして、静寂をゆったりと味わえるような、
そんな落ち着いた心持ちが、秋という季節にぴったり合うように思います。

               ..。..。..

娘の学校では、
12月に入ると間もなく、「アドヴェント・スパイラル」という行事が行われます。

薄暗い会場には、渦巻き模様に描かれた針葉樹が床に施され、
キャンドルの灯りだけが、ゆらゆらとエバーグリーンを照らします。

ハープが静かに音楽を奏でる中、子どもたちが楚々と会場に入場し、
ミツロウのディッピング・キャンドルをさしたりんごを手に持って、
渦巻き模様の針葉樹の道を静かに歩き、ひとりずつ、
一定の場所に点火した自分のりんごを置いていきます。

全員が自分のりんごをスパイラルの道の合間合間に置き終えると、
りんごにさしたキャンドルの灯りが、
最後に螺旋模様をほんわりと浮き立たせるのです。

針葉樹と、ほのかに香るキャンドルのミツロウの香りーーー。
そして、ひとりひとり、子ども達が点火していく姿を見守っていると、
どの子どもたちも、天から舞い降りてきた、
大事な大事ないのちの灯りなのだということが、
心に染み入ってきます。

過剰すぎる音楽、
華やかすぎる装飾の場では決して感じることのできない、美しさーーー。

そぎ落とされた中でこそ、
真に大事なこと、真の美しいものは見え、感じられるのかもしれません。

               ..。..。..

一年のサイクルに身を添わせると、
秋はやはり、静かな内観の季節ーーー。

秋の静寂に自分自身を馴染ませ、
今日も私はキャンドルに灯を灯し、
この季節ならではの心の情景を楽しみたいと思います。

DSC_0006-112210.jpg

今年最後のりんごの上部を少し彫って、ティーライトキャンドルを入れてみました。
水をはったバケツにリンゴを浮かし、暮れゆく秋を楽しみます。


                ..。..。..

<リユース・キャンドルメーキング>

大きなキャンドルなどは、中の芯の周りが先に溶けて、周囲のワックスがどうしても残ってしまうもの。
その残りの破片をためたもので、新たにキャンドルを作ることができます。

余ったキャンドルの破片を集め、再度湯煎にかけて溶かし、芯を入れた好みの容器に注ぐだけ。
空き瓶や、古くなった食器などもキャンドルの器として利用できます。

私は普段、ミツロウのキャンドルを使うことが多いのですが、これは抗菌作用のある自然素材なので、
人工的な香りが苦手な方でも使用しやすいのではないかと思います。

もし香りを加えたければ、エッセンシャルオイルをワックスが固まる直前に垂らします
(勿論ミツロウのみならず、普通の無臭のキャンドルの余りでも使用可能です)。
また、色味を加えたければ、ミツロウのクレヨンを少し削って入れても楽しいものです。

1) ← 余ったキャンドルの破片を集めておき、ある程度ためておきます。DSC_0009-0112210.jpg


2) ↓ 器の真ん中に芯を入れます。ワックスを注いだ時にずれないよう、写真右のように鉛筆などでささえても。

DSC_0015-112210.jpgDSC_0018-112210.jpg

DSC_0020-112010.jpg3) ワックスを湯煎して溶かし、後は器に注ぐだけ。エッセンシャルオイルを入れる場合は、ワックスの表面が固まり始める寸前に。(200ccの容器に対し、精油約50滴前後)
入れるのが早すぎると香りが飛んでしまい、遅すぎるときれいな形ができないので、タイミングに注意します。


                 ..。..。..

皆様も、ほんわり優しく包むキャンドルの灯りで、暮れ行く秋の日々を心温かくお過ごし下さいね。

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。