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2011.04.15

vol.19 シードバンク(1)

東日本の大震災におきましては、
日本の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

まだまだ緊迫した状況が続く毎日かと思いますが、
どうぞ少しでも心安らぐ日々が戻ってきますことを
お祈り致しております。

                 *

震災を通して、
これからの理想的な社会の在り方、国民の意識の在り方など

困難な状況の今だからこそ、
見えてくるものがあります。


私たち自身の価値観こそが、社会に投影されていくと
私は思っています。
国を作っているのは、私たちひとりひとりの「意識」なのです。

私たちが何を第一に大事にしたいのか、
それに沿って
どんな国をあらたに復興していきたいのか。

震災の意味を無駄にしないためにも、
今こそ自分の価値観をじっくりと見つめ直す、よい機会なのかもしれません。


                 *


さて、前回の記事でご紹介した「種のおはなし」。

偶然にも、震災の日に公開した前回の記事が、
私たちの中にある、価値観というものをあらためて考え直す
ひとつの参考になるかと思います。

今回は、そういった「正しい種」の普及を既に実践し、
社会に貢献しているここベイエリアの会社をご紹介したいと思います。

                 *


DSC_0019-41511.jpg


サンフランシスコ湾を挟んで
バークレーから北西にあるソノマ・カウンティ(郡)に、
今日ご紹介するBaker Creek Heirloom Seeds社の支店があります。

ミズーリ州を拠点にしているこの会社が、
なぜソノマのPetalumaという街に支店を持ったのか
興味が湧き、調べてみましたら、
この会社への種の注文のほぼ40%が、
正にこのソノマ周辺からだったことが第一の理由だったようです。

DSC_0021-41511.jpg

ここ、サンフランシスコ、バークレーを中心としたベイエリアは、ナチュラルライフ、健康、社会的平和、精神性などへの関心が全米の中でも非常に高く、遺伝子組み換え種子の実情も認識している人々が多いからこそ、「正しい種」への需要が多いということなのでしょう。

このソノマ郡のPetalumaという街は、アンティークが大好きな私も時々物色のために訪れるチャーミングな街なのですが、Baker Creek Heirloom Seeds社の支店も、20年代のローマンルネッサンススタイルの古い建物です。

以前はこの建物が銀行として使われていた時代もあったこと、そして古いものの良さが味わえる雰囲気の建物であるということも、Baker Creek Seedsのコンセプトに合っているということからseed bankという名前で、皆に愛されているようです。


                 


                                    < 次回へつづく >



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プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。