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2011.12.16

vol.25 クリスマス・ポプリ

DSC_0002-121611.jpg

クリスマス・シーズンになりますと、
自宅のクリスマス・デコレーション用の飾りや
主宰するお花の会で使用した、
クリスマス・グリーンのかけらがたくさん集まります。

枝の切り口から香り立つ清々しい芳香は、
余った枝と言えども、このまま捨てるには惜しいほど。
既に、「フレッシュなポプリ」そのものです。

私はそれらを集めて、クリスマスならではのポプリを作ります。


             ..。。..


冬の、閉ざされた季節にも緑を茂らせているエバーグリーンの針葉樹に
永遠のいのちや、奇跡を見出した昔の人々の想いを感じながら、

夏の間にドライにしておいたハーブや
シトラスフルーツのピールを組み合わせ、
そこにちょっとスパイスを加えると、

クリスマスの記憶として残っていきそうな
この季節ならではのポプリが出来上がります。

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<材料>

  ○針葉樹(もみ、ひば、シダー、松、ジュニパーなど)の小枝

  ○ドライのオレンジピールかレモンピール

  ○シナモンスティック、スターアニス(八角)、
   ホールクローブ、ホールオールスパイス(全て軽く砕く)

  ○ドライミント(アップルミントなど最適)、ドライセージ

  ○その他、彩りにドライのスライスフルーツや
   マートルやひいらぎの実など、お好みで。
   松ぼっくり、から松、セコイアなどの木の実を 最後に添えても素敵です。

  ○あれば、オリスルート(保留剤/ハーブショップなどで入手可能)

  ○精油(ポプリ素材に使った針葉樹系の精油)


<作り方>

  DSC_0036-121611.jpg材料(飾り用以外)を、大きめのボウルに入れて
  優しく混ぜます。
  オリスルート(ニオイアヤメという植物の
  根っこからできた保留剤/右写真参照)
  1〜2片に、
  ポプリ素材に使った針葉樹系の精油を垂らして
  ポプリに混ぜると、
  香りのイメージがはっきりすると共に、
  香りが比較的持続します。

  これを、密封容器(素焼きなどの陶器、
  ガラス容器)に入れて
  直射日光の当らない乾燥した場所で
  数日間熟成させます。

  ガラス容器を使用する方は、
  一日に何回か蓋をあけて、針葉樹からの
  湿気を飛ばしてあげると
  尚丁寧な仕上がりになるかと思います。

  (湿った場所に置いておくと、
  シトラス・ピールやドライハーブが
  湿気を帯びてふやけてきたり、カビが生える可能性もありますので
  ご注意下さい)
  

  数日馴染ませた後、お好みの容器(陶器、ガラス、木製)に移し替え、
  飾り用の素材を加えて
  室内に置いて香りを楽しみます。

  熟成する時間がない方は、
  そのまま素材をボウルなどに入れて軽くかき混ぜて置いておくだけでも
  良い香りがしますので、お試し下さい。

  香りを際立たせたい、香りが薄くなってきたと感じたら、
  針葉樹の小枝やシナモンなどのスパイス類を軽く折ったり砕いたりして
  香りの成分を揮発させます。
  又、オリスルートに精油を少し加えて、香りを整えても良いでしょう。

  もみなどは、色は褪せても  
  翌年、時には翌々年まで豊かな香りを持続してくれます。

  最後には暖炉などに入れて燃やし、
  最後の最後まで、自然の恵みと香りを楽しませてもらいます。

  

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すべてを
すーっと洗い流し 清めてくれるかのような
針葉樹の香りに包まれ、

余ったエバーグリーン素材を慈しみ、
隈無くポプリという
暮しのエッセンスに加えられた時、

最後にはやはり、
すべてへの感謝の気持ちで
一年を締めくくることが出来るのではないかと思います。


皆様も、どうぞ
お手持ちの余ったエバーグリーンで
お気軽にクリスマスのポプリを作ってみて下さいね。


             ..。。..

今年も、「スローライフ イン バークレー」をご愛読頂きまして
誠に有り難うございました。

来年も、自然に沿った暮しの知恵と楽しみを
ご紹介させて頂きたいと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します。


皆様も、どうぞ良い年の瀬をお過ごし下さいますように。


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プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。