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2013.03.28

vol.37 コンパニオン・プランティング

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バークレーも春の陽気に包まれ、
いよいよガーデニングの意欲も増してきました。
日本はいかがでしょうか。


皆さんは、コンパニオン・プランティングを
ご存知ですか?

コンパニオン・プランティング(共生栽培)は、
相性の良い植物同志を組み合わせてそばに植えることにより、
病虫害の被害を抑え、さらには植物の生長を促すことができるため、

西欧では、農薬などを使わない
有機栽培法のひとつとして取り入れられてきました。


私自身、自分の庭はもう20年近く、
農薬、化学肥料を使わない
オーガニック・ガーデニングで楽しんでいますが、

こんな知恵があると、
さらに心強いと感じます。


ちょっとばかりは動物や虫にやられてしまう庭の植物ですが、
農家さんのように、収穫を気にしなくていい趣味の延長では、
農薬、化学肥料を使う必要性はまったく感じません。

虫も、動物も、
必要以上には食べ過ぎたり、害を与えたりはしないーーー。
そんな、地球の循環の流れがあるはずです。

もし大きな被害があるならば、それは気候の異常か、
庭や自然の生態系を、合成化学的なもので壊してしまったせいかもしれません。


植物そのものだけでなく、
土壌、そしてその中に住む虫や微生物など、生き物への影響ーーー。
雨で薬が染み込んだ土から、川、海へと繋がっていく汚染は、
一般家庭からは、もう出したくないですね。

それより、
薬を使わないで植物たちが生き生きと育つ方法を、
あれこれ試す方が
好奇心がそそられます!


小さな庭や、ベランダ・ガーデニングでも、
知っておいて損はない、昔ながらのガーデニングの知恵。

いつの日か、大きな菜園を持ってゆったりと色々な植物を育てる日の
リハーサルとして、
是非覚えておきたいものです。


虫除けや、相性の良い、悪い植物の組み合わせは
実にたくさんありますが、

今回は、皆さんのおなじみのハーブ数種に限って、
ご参考までご紹介しますね。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


<以下、abc---順です>




【ア―テミジア / Artemisias 】 ヨモギの仲間。

DSC_0006-032713.jpg いかにも虫除けに効果がありそうな
 香りを持つ、ヨモギ類のアーテミジア。
 
 ねぎ、ニンジンの間に
 このハーブの一枝を置くだけで、
 ハエ除けになる。

 鶏小屋のノミ対策に、
 また 果樹につく蛾、
 キャベツにつく蝶の害を防ぐので、
 そばに植えると良い。

(注)フェンネル、セージ、キャラウエイ、
 アニスなどの料理用、医療用ハーブとは、
 隣り合わせて植えない方がよい。
 アーテミジアの葉から発育抑制物質が発散され、
 雨に洗い流されると、周囲の植物に影響する
 可能性があるため。


☞写真は、アーテミジアの種類のひとつ、Tree Artemisia(アサギリソウ)。




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【ボリジ / Borage 】

きっとミツバチにとっても魅力的なのでは
ないかと連想させられる、
星型の青い神秘的な花を持つ、ボリジ。

現に、花にはミツバチを呼び込む効果が。

いちごのそばに植えると互いに成長を促し、
トマトのそばに植えると、害虫がつきにくくなる。

コメツキムシの幼虫除けにも。




【チャイブ / Chives 】

DSC_0015-032713.jpg葉は優しい風味のねぎの代用に、
花はサラダに散らしたりと重宝なこのチャイブ、
りんごの腐敗病、
うどんこ病を防ぐ効果が。
その他、立ち枯れ病、青枯れ病を予防する。

アブラムシ、なめくじ除けに。

トマトのそばに植えると相性が良いが、
豆類とは相性が悪いので、気を付ける。

土を元気にする作用も。





【フレンチ・マリーゴールド / French Marigold 】

DSC_0051-032713.jpg日本でもおなじみの、
鮮烈なオレンジや黄色のマリーゴールドは、
ネマトウダという、
土の中に住むミミズ状の線虫を
撃退する分泌液を出す。

アブラムシ、アオムシ除けにも。

トマト、豆類のそばに植えると相性がよい。
土を元気にする作用も。


☞写真は、比較的珍しい、限りなく白に近い
 クリーム色品種の、"Kilimanjaro White" 。





【ガーリック / Garlic 】

DSC_0002-032713.jpgキッチンでもおなじみのガーリック、
人間の体に良いことは知られているが、
庭でもなかなかの力を発揮する。

バラ科の植物の、あぶら虫除けに。
また、病虫害全般に効果を発揮する。

豆科の植物とは相性が悪いので、
気を付ける。

植え付ける時は、
にんにくの一片ずつ(種球)を、
地表から8cmの 深さで植え付けると良い。





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【レモンバーム / Lemon Blm 】

レモン風味のハーブティーとして
皆に愛されているこのレモンバーム、

ミツバチの巣箱がある場合は
その巣箱のそばに、
また果樹のそばに植えると蜂を誘い込んで、
受粉を助けてくれる。

蜂が減少してきているというニュースも
耳にする近頃、
是非ともこんなハーブを植えて
蜂を繁殖させたいものである。

カメムシ除けに。

ナスタチウムのそばに植えると相性が良い。





【ミント / Mint 】

DSC_00120-032713.jpgハーブの中でも最もポピュラーな
おなじみのミントは、
バラの近くに植えると、あぶら虫を防ぐ。
毛虫、蟻、のみ、蚊除けに。
また、ネズミの防御にも。

庭に直植えにする際、
地下茎で繁殖しすぎるので、
ポットごと土に植えたりと、
根が広がりすぎないよう工夫を要する。





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【パセリ / Parsley 】

食卓でもポピュラーなこのパセリ、
実はバラの香りを良くし、丈夫にさせる
効果が。
あぶら虫除けにも。

さらに、チューリップの害虫除けにもいいそうだ。

殆どのハーブを嫌うなめくじは、
パセリがお好きのようなので、注意を。

アスパラガス、トマトのそばに植えると
相性が良い。

我が庭でも、今年はパセリの
コンパニオン・プランティングを試してみる予定。





【ローマンカモミール / R.Chamomile 】

DSC_00060-032713.jpg甘酸っぱいりんごのような香り、
優しく可愛らしい姿が印象的な
カモミールだが、

「お医者さんのハーブ」と呼ばれ、
元気のない植物のそばに植えると元気を取り戻させる、
実はたくましい生命力がある。

草かげろう(益虫)を引き寄せ、
蚊は寄せ付けない。

キャベツ、玉ねぎのそばに植えると相性が良い。





【ヤロウ / Yarrow 】 西洋ノコギリソウ。

DSC_0001-032713.jpgDSC_0034-032713.jpg

 フランスにかつて旅行した際に、道路脇に野草のように
 繁殖していたのを見たことがある。

 素朴ながら力強い容姿が物語るように、
 近くに植えてある植物の抵抗力を高め、味や香りをより良くする。

 草かげろう、てんとう虫、はなあぶなどの益虫を呼び寄せる。

 葉は捨てずに刻んで堆肥に加えると、分解、発酵が促進される。


 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


    <参考文献>
     THE COMPLETE BOOK OF HERBS ハーブ図鑑110/レスリー・ブレンネス著

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。