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2010.10.20

vol.12 ほんわりあったかフェルト

12-1.jpg


秋になると、
ほんわりさせられる小物を手作りしたり、
室内に飾って、温かい気持ちを味わいたくなるものです。

今回は、わが家の秋の飾り付けに必ず登場する、
羊毛フェルトをご紹介いたしましょう。


                ***


フェルトの原材料は、主に羊毛です。

紀元前5000年頃から、人間は羊を飼っていたと言われており、
日々の生活の中で、人は羊から刈った毛が絡まり合うと、
フェルト状になることを知り、
それを身につけたり、暮らしに役立てたりするようになっていったそうです。

フェルトを触ったり、フェルトの作品を眺めているだけで
心が和み、優しい気持ちになれるのは、
昔から暮らしを共にしてきた動物のぬくもりが感じられるからなのでしょうか。

                ***

羊毛は、その繊維の中にあるキューティクルを
絡み合わせることで、フェルト化します。

現代では、専用のフェルトニードルを使って羊毛をフェルト化する方法と、
お水やお湯につけてキューティクルを広げてから、
石鹸ですべりを良くしてこすりあわせ、絡み合わせる方法とがあります。

今日は、簡単に作れるフェルトニードルで作ったフェルトを
ご紹介します。


               ***
羊毛フェルト
<材料>
・羊毛各色       ・専用のスポンジマット
・フェルトニードル(針)  
・(その他クラフトの内容によって)くるみ、糸、紐、刺繍枠


<注意>
ニードルは手を刺さないよう、また、お子さんの手の届かない所で保管するよう、
十分気を付けましょう。
ニードルはひねったり無理な力を与えると折れやすくなるので注意します。
専用のマットの上で作業すると、折れた場合の飛び散り防止にもなるので、
スポンジマットの使用をお勧めします。

12-2.jpgもっとも基本的ですが、
それだけで可愛らしいのが、
このまん丸フェルト。

羊毛を適量さいてクルクルまるめ、
その上に、交差する方向に
薄く羊毛を重ね、ニードルで色々な角度から
つんつんつつきます。
さらに縦、横、斜めと
色々な角度から薄く羊毛を重ねていき、
最終的に丸い形になるように
ニードルでつつきます。

色々な色や大きさのものを作ることができます。


できあがった丸いフェルトは、お好みでお菓子の焼き型やバスケットなどに入れたり、
下のように拾った枝や木の実と飾ると、森のディオラマのようです。

DSC_0001-102010.jpg


12-4.jpgまん丸フェルトに糸を通して、
刺繍枠にさげると、
シンプルなモビールになります。
木の実や木の枝、流木などを
一緒にさげても楽しそう。


丸いフェルトの応用として、
がちゃぽんのカプセルなどに、
あずきや乾燥豆を数個入れてテープをし、
その上から羊毛を
何度も重ねながら、しっかりと巻いて
ニードル(又は石鹸水)で
フェルト化すると、
子ども用の音の楽しめるボールのおもちゃになります。
手触りも優しいので、
乳幼児のおもちゃとしてもお勧めです。


DSC_0043-102010.jpg
こうして糸でつなげて
ガーランドにするのも素敵です。
秋にぴったりの質感で、
室内もほっこりとした雰囲気に。

こちらはフラットな
円形のフェルトで作りました。
もちろん丸いフェルトでもできます。



フェルトを使った小物づくりも、楽しいものです。


12-5.jpg12-6.jpg


こちらは、フェルトで作った野菜やフルーツ。
室内に飾ったり、バスケットに入れて子どものギフトにしたり、
楽しいアイデアがいっぱいです。


DSC_0008-102010.jpg


上の写真は、半分に割ったくるみの上に、
パステル調の優しい色合いのフェルトをつめて、
ドングリの帽子をかぶせたフェルトの赤ちゃんです。
くるみがゆらゆら揺れると、ゆりかごのようで、それはそれは可愛らしいもの。
小さな鈴を縫い付けても素敵かもしれません。

子どもが小さかった頃には、
羊毛素材の柔らかさと、
輪郭が曖昧で、ほんわりと形作られているフェルトの特徴が、
まだ夢の世界にいるような子どもたちにとても似つかわしく感じ、
羊毛フェルトの小物を部屋に飾ったり、手にとって遊ばせたりしたものです。

シンプルな造形がかえって
子どもの想像力を膨らませるのでしょうか。
飽きずにずっと遊んでいたのを思い出します。
ふわふわな羊毛フェルトの繊細さは、
子どもにも伝わるようで、
大事に扱い、愛おしそうに眺める姿が
とても印象的でした。

フェルトは、
小さく、はかなげなものに心を寄せ、
大切に扱う心を育んでくれるのかもしれませんね。


。。。。。。。。

11月のコラムは、都合により1回お休みさせて頂きます。
次回の更新は、11月中旬以降となりますので、宜しくお願い致します。

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。