ページトップ

目次

2010.09.29

vol.11 Herb Tinctures & Infused oil(1)

11-1.jpg


秋の訪れが感じられるようになってきた今日この頃ですが、
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?


さて今回は、
夏の間に乾燥させておいたドライハーブを使った、
家庭の常備薬になるハーブ・ティンクチャーや、
ハーブの浸出油(インフューズッド・オイル)
をご紹介致しましょう。


                   *

ハーブの成分を水や油、アルコールなどに溶け出させたものは、
家庭用のハーブ薬として活用することができます。


市販の薬や便利な物があふれている現代ですが、
こういう時代だからこそ
自分で育てた植物を使ったり
自分で材料から揃えて手作りしてみると、
植物の効能が優しく、私たちの体に作用し、
働きかけてくれていることを実感できるのです。

さっと市販のものを買って、速効で体を治そうとする時とは違った、
自分自身への慈しみや
自然への感謝の気持ちも味わえます。


私たちの心身が植物の力によって癒される、
自然の恵みに気が付くと、
とても温かでしあわせな気分になります...。


さて、作り方は簡単。
完全にハーブを乾燥させることと、
そのドライハーブをアルコールやオイルにしっかり浸出させることがポイントです。

抽出時間が必要なので、
仕上げまでには日数がかかることを覚えておくとよいでしょう。

ぜひ、お手元にある材料で、
緑の薬箱を作ってみませんか?
(お手元にドライハーブがない方は、ハーブショップなどで購入できます。)

              *

<ハーブ・ティンクチャー>

ハーブ・ティンクチャーとは、
乾燥したハーブをアルコール(ウォッカやホワイトリカーでもOK)に浸けて、
有効性分を抽出したもので、「ハーブ・チンキ」とも言います。

ハーブ・ティーなどでは抽出されない油性の成分も抽出されるのが特徴。
また、アルコールには殺菌力があるため、保存が可能です。
加えて、内服した場合に吸収が早いという利点もあるようです。

使い方は、デオドラントスプレーにしたり、精製水で薄めて化粧水にしたり、クリームや石鹸などを作る時に加えたり、お風呂に垂らすなどして使用できます。
(精製水で薄める時は、4倍に希釈します。)

ハーブ・ティンクチャーはその穏やかな作用で、
暮らしのいろいろなシーンに活用できることでしょう。


○カモミール・ティンクチャー

11-2.jpg

・ドライ・ジャーマン・カモミール ... 10g   
・40度以上のウォッカ ... 80ml

消毒したビンに、分量のドライ・ジャーマン・カモミールを入れ、ウォッカを注ぎ入れる。
作成した日付をビンに貼っておき、約2週間ほど冷暗所に置いて、時々ビンをゆする。
2週間たったら、コーヒーフィルターか、清潔な竹の茶こしで漉し、瓶(以下、どれも遮光瓶だと尚よい)
に入れて作成日を瓶に貼り、保管する。
(冷蔵庫などで約1年間保存可能。)

体を温める効果と鎮静作用のあるジャーマン・カモミールは、リラックスしたい時に、お湯1カップにティースプーン約1/3を溶かして服用する。
(アルコールを避けたい場合は、熱湯でアルコールを飛ばす。)


また、かゆみのある部分や炎症のある部分にコットンなどを使って湿布するのもよい。


○万能ハーブ・ティンクチャー


・ジャーマン・カモミール...12g
・ラヴェンダー...8g
・カレンデュラ...10g
・精製水...240ml
・ウォッカ...160ml


作り方は上記のカモミール・ティンクチャーと同じ。
浸出期間は1〜3か月。
(最初の2、3週間は、毎日ビンをゆする)
浸出が終わった後、濾して消毒した瓶で保存する。
(保存期間は2年間が目安)

大人の乾燥肌やかゆみ、炎症、アトピー、
赤ちゃんのおむつかぶれやあせもなどにも効果が。



○ペパーミント・ティクンチャー
11-4-2.jpg
・ドライ・ペパーミント...10g
・ウォッカ...100ml

作り方は、カモミール・ティンクチャーと同様。

デオドラント効果とリフレッシュ効果があるので、
水で薄めて(コップ一杯に5滴程度)うがい薬に。



1/2

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。