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2012.08.22

vol.32 コンフリーで作る有機肥料

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花々が全盛の5、6月、
我が家の庭でも
きれいな紫色のジュエリーのような花を咲かせ、
目を楽しませてくれるハーブのコンフリー。

育てるのも世話いらずで、
放っておいても
毎年春になるとぐんぐんと草丈を伸ばし
花を咲かせてくれる、たくましいハーブです。

欧米では
葉を刻んでサラダにしたり、湿布にしたり、
また浸出液はお風呂に利用したりと、大いに活用されるハーブのようですが、

根に含まれる成分に
発がん性があることが分かり、
国によっては使用が制限されているようです。

しかしその後、全草を用いれば逆に抗がん作用があると示唆されました。

いずれにしても内服、食用として摂取する際には注意をして下さい。


  注:日本ではコンフリー及びこれを含む食品については、
    食品衛生法第6条第2号に該当するものとして販売等を禁止されています。



私はもっぱら、
コンフリーを室内に飾ったり、液体肥料を作って利用します。


コンフリーは、土中の水分やミネラルを吸収し、
地表近くに持ってくる働きをするせいなのでしょうか、

植物の生育に欠かせない栄養であるカリウムを多く含み、
また窒素、カルシウム、リン酸なども豊富なのだそうです。

繊維質の少ない葉なので
水に分解しやすく、1か月過ぎると液体になります。


コンフリーを育てている皆様、
まだ葉が茂っているうちに、
是非ともこの有機液体肥料を作ってみてはいかがでしょうか。


【作り方】::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 1)できれば金属製でないバケツ(プラスチックや琺瑯など)の半分ほど
   コンフリーの葉をつめ、葉が完全に隠れるようにバケツにたっぷり水を入れる。
   (葉が浮いてくるが、おさえながら塩梅を見る)

   大きな石などで重しをし、
   水をひたひたに入れて作る方法もある。(写真右下)
   この場合、水が少ない分、濃い肥料液となる。

   水の量が多いほど、薄い液体肥料が出来上がる。

   バケツに蓋をして置いて温かい場所に置く。(蓋がないバケツの場合は、サイズの合う
   植木鉢の受け皿などをかぶせて蓋にする。)

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 2)時々葉が水にちゃんと漬かるように中をかき混ぜ、
   少なくとも1か月以上置いておく。暑い季節ほど、早く出来上がる。

  (石の重しを使った方法の場合は、
   水が減ったり葉がむき出しになったら、石をずらして葉をなじませたり
   水を足して、葉が全部水に漬かるようにする。)
   
   無臭になり、液体が濃い紅茶色になれば、出来上がり。


 3)これを漉してビンなどに移し、原液とする。
   使用する際には、原液の濃さにもよるが、
   15〜20 倍ほどに薄めて植物に与える。

   鉢植えやバラなど栄養を必要とする植物には週に1、2回。
   栄養を余り必要としない植物は月1回〜季節に1、2回で十分。

    必ず無臭になって分解が終わったものを使用すること。

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 4)漉した後に残るどろりとしたパルプ(コンフリーの溶けた葉の繊維質などの残り)は、
   コンポストにする。  


自宅でオーガニック栽培をして育てたハーブが
私たちの目を楽しませてくれた後、

有機肥料となって庭に恩返しをし、

それがまた翌年の庭の豊穣に繋がっていくーーー。


なんとも無駄がなく、
満ち足りた自然の循環の世界。


私も、来年の庭の全盛期を楽しみにしながら
コンフリーに感謝して、
今年できたての液体肥料の恵みを、この秋から庭に施していこうと思います。

プロフィール

加藤万里 -Mari-Kato-

フラワーデザイナー

加藤万里 -Mari-Kato-

カリフォルニア・バークレー在住、フラワーデザイナー。ハーバリスト。
1994年より、ロスアンジェルスで花教室FOLIAGEを主宰。
2004年秋より処点をバークレーに移し、06年、あらたに「お花会」という形でFOLIAGEを再開。その後、アロマクラス、ハーブクラスも増設。

フラワーアレンジ、アロマ、メディカルハーブ、ガーデニング、インテリア、手仕事など多方面から、花のある暮らしを提案すると共に、植物を通して、目に見えない大事なことを思い出していくための機会と場になることを願い、会を開催している。

また、昔ながらの暮しの知恵を取り入れ、現代風に楽しむことで、忙しい日々を送る現代人が忘れていることを取り戻していきたいと考え、スローライフを自ら実践し、提案している。

ロスアンジェルスの日本語情報誌「LIGHT HOUSE」にて、98年から02年まで「カリフォルニア花日記」「シンプルエコライフのすすめ」などの記事を連載。
09年春と秋にバークレーで、食とお花、食と手仕事をコラボさせたワークショップ付きの「カフェ・イベント」を開催。好評を博する。

著書に、ロスでの花生活を綴ったエッセイ『ガーデンダイアリー カリフォルニア 花と暮らす12か月』(講談社文庫 98年刊)がある。